症例2 30代男性 ブチ切れハイスペおじさん その②
前回の続きです。その①は上のリンクから。
症例2【たまにブチ切れハイスペおじさん】
いいところ
・ハイスペ
・仕事では好評価
・基本的には優しい
悪いところ
・たまにブチ切れる
・暴力もある
その①ではその人たぶんあなたにキレる癖は治らないよ!だってそのままの方がラクだから!ということを伝えました。
自分の思い通りにならないことに耐えるというのはそれなりに精神の発達を必要とします。
赤ちゃんの頃は誰でも何か少しでも気に食わないと泣きます、ひたすら泣いて暴れまくります。ですがそれが普通です。
そんな赤ちゃんも大きくなるにつれて少しずつメンタルも成長し、気に食わないことがあっても泣かずに暴れずにぐっと我慢したり、振り返って反省や改善をすることができるようになっていきます。
大人になるということは、自分の欲求を我慢したり、思い通りにならないことを受け入れられるようになる、ということです。
そういった意味では思い通りにならないとキレる人は、赤ちゃんレベルのコミュニケーションを取っていると言えますね。赤ちゃんプレイおじさんです。
要するに幼稚なんですね。
この赤ちゃんプレイおじさんの場合は(深層心理では)分かってやってるので限られた場面でしか出てこないんですけど、これが『キレると自分でも訳分かんなくなって暴れまくる』タイプはまた少し違います。
そういう人は何に対しても誰に対してもキレます。まあDQNのイメージですね。
こっちの人は場面に関係なくキレて暴れてあちこちでトラブルを起こしますのでハイスペ界隈にはまずいません。
こういった人たちは脳の発達的にそもそも不快な気分を我慢する(衝動統制)能力が欠如していることが多いので、医学的な対策としても衝動性を抑える薬を飲み続けてもらうくらいしかありません…。周囲の人としては許容範囲の中でしか関わらない、と距離を置くしかないでしょう。
IQも人によってばらつきがある(つまり知能にばらつきがある)のと同じように、衝動統制の能力も皆が同じレベルで持っているわけではないのです。
衝動統制に関してマシュマロ・テストという有名な実験があります。
スタンフォード大で40年以上前に行われた古い実験ですが、4歳の子供の前にマシュマロを置いて、『今そのマシュマロを食べてもいいけど、15分我慢できたらもう一つあげるよ』と言ってその場を離れて、果たして子どもたちは我慢できるのか?という実験です。
最終的に15分間我慢して2個目のマシュマロを手に入れたのは3割程度だったそうです。実はこの実験は『マシュマロに飛びつくのを我慢できた子どもほど将来社会的に成功しやすい』という結果も示して有名になりましたが、同じ4歳児でも衝動統制の能力は人によってばらつきがあるということが分かります。
これはひとえに脳の発達によるものなので、例えば交通事故や脳梗塞で脳の特定の部位にダメージがある(高次脳機能障害)と、知能は変わらないのに今まで穏やかで我慢強かった人が突然赤ちゃんのようにだだをこねるようになったりします。
というわけでとりあえずたまにぶち切れハイスペおじさんはたまに赤ちゃんプレイハイスペおじさんに改名しましょう。よりヤバさがはっきりしてきました。
ではそれを踏まえて具体的に今後どうすればいいか?
次回に続きます。
症例2 30代男性 ぶち切れハイスペおじさん その①
こんにちは、GWは満喫してますか?むせ返る人人人…で消耗してませんか?
僕はGW、お盆、年末年始はだいたい仕事してます。人混みとか渋滞とか苦手なので…よっぽど快適に過ごせる準備ができてない限りは大人しく働いといて、代わりに平日に休みもらって遊びに行く派です。
ところで今日はどういったご相談でしょうか?
なるほど、あなたは未婚で、数か月前からむにゃむにゃな関係になった男性がいて、その人は既婚者だったと。そしてその男性はいわゆるハイスペな方なんですね。
こっちも奪いたいとか家庭壊したいとかではなかったからほどほどの距離感にいて、美味しいご飯とかちょっとしたプレゼントなんかをもらっていたと。
自分にも他の体の相性のいいセフレ君がいて、相手も既婚だしまあいいかと軽く考えていたのに、あるときスマホを盗み見られてそのいちゃいちゃなやり取りを見られてしまったらハイスペが死ぬほどキレて、殴られるわ壁に穴開けるわで、スマホも取り上げられて勝手にセフレ君との写真も連絡先も消されたんですか。
でそれから突然束縛が強くなって、スマホは常時チェックされるわ、何かあったらすぐブチ切れて暴力振るわれるようになったと…。
それから今の奥さんとはもう別居中だからと結婚したいとまで言われているんですか。で自分としてもそろそろ結婚したいし、まあハイスペだし、普段はむしろ穏やか人だし、職場では評価もいいし、ちょっと我慢すれば悪くないかなあと迷っていると。
なるほどねー、いったんまとめましょう。
症例2【たまにブチ切れハイスペおじさん】
いいところ
・ハイスペ
・仕事では好評価
・基本的には優しい
悪いところ
・たまにブチ切れる
・暴力もある
まずですね、その人の何かあったらあなたにキレる癖、たぶん治りませんよ。
だって分かってやってますもん。同じキレる人でも『キレると頭が真っ白になって何するか分からない』ヤバいタイプとは違います。
その人はイライラを本当は我慢しようと思えばできるんです。
敢えてしてないだけ。
それはハイスペであること、職場では好評価ってのから分かります。まずところ構わずキレるような人はそもそもハイスペにはなれません。ハイスペになる過程では忍耐力が絶対に必要ですから。
職場で同じくらいイライラすることがあっても我慢できるはずですし、例えばあなた相手にブチ切れ真っ最中に取引先から電話がかかってきたら、コロッと声色変えて穏やか~に対応できますよね?
その人はブチ切れるのを自分のワガママを通すための手段に使っているんです。
本人もそこまで自覚しているわけではないとは思いますが、その人の脳は今までの経験的に
『ブチ切れて暴力振るうと、冷静な話し合いでは通らない自分のワガママが通るじゃーん!めっちゃ楽~ \(^o^)/ 』
という学習をすでにしてしまっています。
そしてその人…ブチ切れるときは『俺をこんなにキレさせるお前が悪い』って言いませんか?
何かの原因を自分に求める傾向を自責(じせき)、逆に他者に求める傾向を他責(たせき)と言いますが、これはどちらにかたより過ぎても健康的ではありません。
このおじさんはこれが他責にスーパー振り切れてますので、反省というものは基本的にありません。
これには否認というメカニズムも働いてます。いや避妊じゃないです。
本当にそう思っているというよりは、自分のせいと思うと思いっきりブチ切れられないんで、『相手が悪いのだ、だからこれくらいキレてもよいのだ』ということにしておきたいのです。たぶん自覚はなくて、本当にそう思っているような口ぶりでしょうけど。
※この否認のメカニズムが働いているかどうかは『知人の話として考えてみる』と分かります。詳細はニーズがあればまた別の機会に。
なのでその癖を治すには
まずは本人がその学習に気が付いて、このままではいけないと己を律する苦しい練習(長くなるので詳細は割愛)を続けないといけません。
でもその人そんなことしてくれますか?
だって職場や友人に対しては穏やかにできていて何の問題もないし、あなたとの都合の悪い話にはブチ切れた方が自分のワガママ聞いてくれるんですよ?
自分を変える、しかも自由を制限する方に変えるのは誰しもしんどいです。わざわざそんなつらい思いして自分を変えるより、あなたにそんな指摘をされたらぶち切れて怖がらせて黙らせた方が楽じゃないですか?
だから基本そういう人は治りません。見切りつけてさっさと離れるか、暴力振るわれながら変えようとけなげに努力するか、一生いざとなったらブチ切れる、建設的な議論はできない人だと覚悟の上で関わっていくしかないでしょうね。
ちょっと長くなったのでいったん切りましょう。その②へ続きます。
症例1 Y口メンちゃん
こんにちは、今日はどうされましたか?
お名前は?Y口メンバーさん?ならメンちゃんにしときましょう。
なるほど…お酒に酔って女子高生になんやかんやしてしまったと…。
既往歴は…ほかの病院でアルコール依存の治療を行っていたんですね。
で1か月入院して退院当日に焼酎1本空けて女子高生呼んでキスを迫ったんですか。それで「何もしないなら帰れ!」て言っちゃったんですか…。
お酒に酔った状態はいわゆる”酩酊”状態ですね。今回はより強い変化が出てくる複雑酩酊だったのでしょう。
お酒には「脱抑制」という作用があります。要するに普段かかっている抑制を取るということで、その人が隠していた部分が表に出てきますので、表では朝から爽やかに「〇ップ♡」とか言いながらほんとは女子高生の◯ップ♡にどちゃくそやらしいことしたい…って思ってたんですよ!!
あれ…?普通じゃん…?
診察室で「そうなんですね…それはつらかったですね…」とか言いながら今度デートする子にTバックはかせて人のいないところでどちゃくそケツ叩いててやりたいなーとか考えてる我々と一緒じゃん…?おっとお口がすべりましあsがだsdg
思っててもいいんですよ、それはまあ男として普通のことだから。
実は普通じゃなくても思ってていいんですけど、それはまた別の機会に話しましょう。
でも実行しちゃダメですよ。そもそもなんでJKならダメなのかというのには賛否あるので置いときますけど、ダメです。
酩酊するとどういう反応が出るのかは人によってパターンがあります。メンちゃんの場合は飲酒するとたぶん同じことになるでしょうし、飲み始めたら止められないだろうからもう完全な断酒しかないでしょうね。つらいと思うけど。
アルコール依存症の治療と、覚醒剤などの違法薬物の依存症はどっちが治療が大変なのか?ですか。それは恐らくアルコール依存症の方ですね。
まず何をもって依存症の治癒したと言えるか?
「飲まない」状態を持続していることがゴールなので、基本的に一生終わりません。
なのでほしいと思った時に「手に入れるハードルの高さ」が重要になるのです。
アルコールはどこでも売ってるので覚醒剤よりも簡単に手に入ります。
要するにめっちゃ空腹で、目の前に美味しそうなご飯が並んでいるのにそれは罠で、食べたらはいアウトー!!な状態だからです。考えるだけでつらい…。
それなら目の前に食べるものなんて何もない方がまだましですよね。
断酒すると今まで頼っていた依存先がなくなる訳なので、それに代わるものがないと容易に目の前にあるアルコールについ1杯だけ…と手を伸ばしてしまうのです。
それにしても…擁護する女性の意見もTwitter上ではたくさんあるんだから、相手を選べばいくらでも◯ップにやらしいことさせてくれる人がいたんじゃないですか?
なんでわざわざ女子高生とかハイリスクなとこにいっちゃったんですかね?
おそらく今まで同じようなことをしても、結局大ごとになることなく楽しい思いをしてきたのでしょう。
藤沢数希氏が言っているように、これは「結局メンちゃんも女性から拒絶されるキモいおっさんに過ぎなかった」ではなく、むしろ過去にたくさんの成功体験があったからこそ、逆にこんなに雑でハイリスクな行動も”許されるだろう”という甘え、驕り(おごり)があったのだと思います。
トキオの山口さんでも女子にキモがられるんだから、おっさんはうんぬん…、みたいな話がTLを賑わせているかが、それはぜんぜん違うと思う。むしろ、逆。トキオの山口さんは、おっさんでも、あんな感じでアイドル級のティーンズと何回も成功体験があるから、サインを見誤って突っ込んだんだと思うよ。
— Kazuki Fujisawa (@kazu_fujisawa) 2018年4月27日
まさに「勝って兜の緒を締めよ」。なので今回はメンちゃんがおじさんかどうかはあまり問題ではありません。若くてもおじさんでも、モテているゲスな人は気を付けましょう。
飲酒の問題は世間からも一定の同情はあるかもしれません。ですがこの”驕り”にはさすがに同情の余地は乏しいでしょう。
次から喜んでちゅーさせてくれて被害届を出さない成人女性を探しましょう。
治療方針は…うーん、「何もしないなら帰れ!」が今年の流行語大賞に選ばれたらメンちゃんを許してもらうとかどうですか?
今度僕も使って、世間に広めてみますね。は?うちのクリニック受診しといておっぱい検診を受けたくない?何もしないなら帰れ!!!
初診時あいさつ
初めまして、Dr.しゅんです。
世の中にはゲスをこじらせ過ぎて難治化し、日常生活が大きく制限され、やがて社会的死に至る方が多くいます。ゲスは致死的な病であり、社会的損失が大きいものなのです。
あなたは大丈夫ですか?
実はかく言う僕も…その…こじらせてましてね、ゲスってやつをですよ。
もう発症して何年ですかね…幼少時は隙あらば本を読み漁り知識を蓄え、臥竜が雌伏するがごとく、将来は海外に羽ばたいて地球の環境保全に貢献するんだ!なんて考えてたんですけどね。
ふと気が付けば場末のクリニックで、不倫がバレて追い詰められて記憶喪失になったおじさんの話を聞いてますよ。なんでですかね?
まあアイスブレイクはそんな感じです。
よろしくお願いしますね。
ゲスの定義?そんなんこれから考えます。診断基準とか。
リメンバーミー観た感想を書きたくて完全に見切り発車で始めてますので…。