Dr.しゅん の しゅんじゅわークリニック

ようこそ、しゅんじゅわークリニックへ。Dr.しゅんです。標榜科はゲス科で、たまにおさわりを中心とした心療内科、精神科の治療も行っております。ゲス具合が酷くて心身の健康が損なわれている方への暖かい援助をしていきたいと思っております。喉が痛い?そういうのはちょっとよく分からないですね。 twitterやってます。@Drshunshu

症例3 40代女性 スピリチュアル言霊最優先おばさん その②

 

お久しぶりです、Dr.しゅんです。

 

更新が久しぶりになってしまいました。考えていることをまとまった形で、論理的整合性や構成なども考えて文章にするのはなかなかエネルギーを食いますね…

しかも医療的見解を踏まえるとなると間違ったことも書けないというプレッシャーもあります。おっぱいとかちょっと簡単には言えませんよね…はぁ…おっぱい…。

 

ただ精神科はいろんな誤解があったり、こうしたらいいのに…と思うことが多々ある分野でもあります。質問箱にも質問いただいているので、きちんと読んだ甲斐のある記事を更新していきたいと思います。気長にお待ちいただければ幸いです。

 

 

 

↓前回記事はこちらです。

drshunshu.hatenablog.com

 

 

今回の相談者は30代女性、結婚したての夫に手酷い、舐め切ったような浮気をされ、すっかり傷心して地元に帰ってきていました。

夫の不貞のせいで食事も取れず夜も寝つけず、夫を呪う気持ちと自分にも落ち度があったのかと思い悩みもう死にたい…とまで思いながら泣き暮らす日々です。

ほんとにむかつくむかつく…出張先で〇ねばいいのに」「どうやってSATSUGAIするか考えるときだけ救われる」なんて考えますが、言霊を大事にするおばさんに『汚い言葉を吐くと自分に返ってくるよ』と言われてどうしたらいいか分からなくなります。

 

 ããã°ãããããªã¼ç´ æãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ


ごっちゃになりがちですが、感情思考は明確に区別する必要があります。平たく言えば感情は理屈で説明できない部分、思考は理屈で説明できる部分です。
この場合は『ぶっ〇してやりたいくらい憎い気持ち』が感情で、『不倫の報復としてSATSUGAIは妥当か否か…?』が思考です。
 


感情は論理的思考を経ないで湧き上がってくるものなので、発生自体を止めることはできません

お化け屋敷が怖いと言っている人に「怖いと思わなければいいんだよ!(≧▽≦)」と言っているレベルには言霊おばさんはムチャ振りです。
 


思考&その先の行動に関してはルールも必要ですが、 感情に関してはどんなものが出てきてもOKなんです。というか止められないので…。
思考や行動には理屈が入る余地があるので、彼女のもやもやに対処するとしたら、勝手に湧き上がる、制御できない感情はとりあえず全部認めてあげて、その先の思考や行動で食い止めるぜ!ってやった方がどうにかなる気がしませんか?
 
 
 
そもそも何かに対処するにはまず『認知する=存在を認める』という過程が必要です。トラブルの内容がわからない限りは対処の使用もありません。


診察をしているとたまにとんでもない患者さんにに出くわすことがあります。こっちの言うことは全然聞いてくれず、一方的にクレームを言い続け、まったく感謝の気持ちもほかの患者さんへの配慮もなく、批判的、攻撃的な患者さんですが、特にメンタル系の診察ではその率も高まります。
その攻撃性自体が躁や妄想のような治療対象の症状だったりしますから、他の科のように出禁にして関わらないようにして終わり、ともいかない事情もあります。
 
そういうトラブルリスクの高い精神科医がどういうマインドセットでそういった困った患者さんに対処するんでしょうか?
 
まずは『自分に湧き上がっている感情をありのままに認知する』という作業をします。「あ、自分は今この患者さんのこの言葉に苛立っているな」「正直診たくない…他の病院に行ってくれないかな…と思っているな」といった感じにできるだけあるがままに客観視して、感情の『存在を認めてあげる』わけです。これを、『ダメだ…医療者なんだから患者さんに苛立ってはいけない…!』みたいに自分に聖人を求めだすと多分自分が潰れるでしょうね。
 
その上で「どうしてこの患者さんは私をこういう気持ちにさせるふるまいをするのだろうか?」と患者さんがそうせざるを得ない背景にフォーカスを当てて治療対象ととらえ、アプローチの糸口にします。まあ人によってアプローチのスタイルはかなり違いますが、どのスタイルで行くにしてもまず認知・客観視という過程は重要です。
 
 
まず最初に『認知する=存在を認める』ことで自分にある感情を認め、「こんな感情があるんだなー」と気付いて、そんな感情を抱いている自分もまたよしとする。だってそこはあなたにも止められないですからね。ここを否定するとしんどくなる。

そしてその次に、その感情を『消化=適切に処理する』。
 


一応言っておきますけど、感情は否定しないでいいって言っても、「ぶっ〇してやりたい」って言って本当にぶっ〇したりとか、感情のままに罵詈雑言をそのまま相手に伝えていいかっていうのはまた全然別問題ですよ。

あなたの感情は誰が背負うべきか』という『消化』についての問題になってきますので、そこはまた折を見てテーマにしたいと思います。

 

さ、今日はここまでにしましょう。W杯見ないと…。